こんなことまでできる!waypointカスタマイズで実現できる自動運転の機能5選

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当社では、お客さまからのご依頼を受け、工場・倉庫内で活用する自動運転システムの開発に取り組んでいます。自動運転車両の構成は、小型電動けん引車とその車両に備わっている標準のセンサー、さらに3D-LiDARセンサーという組み合わせです。システムソフトウェアはAutowareを採用しています。

自動運転の実現のためには、工場・倉庫内の安全性の確保はもちろん、他にも多くの課題があります。課題の解決方法はさまざまですが、今回の記事では「waypointのカスタマイズ」で実現できる機能をご紹介します。

「自動運転の実用化の鍵はwaypointのカスタマイズにあり」、と言っても過言ではないほど、waypointのカスタマイズで解決できる課題はたくさんあります。ただ、実際の開発現場では、「カスタマイズすればなんでも簡単」という訳ではなく、お客さまのご要望を受けて機能を設計し、テスト運転で試行とブラッシュアップを繰り返す、という苦労を重ねています。

そうして実現できた機能を、Woskietではノウハウとしてご提供しますので、ぜひ自動運転の開発にご活用いただければと思います。

目次
waypointのおさらい
waypointのカスタマイズで実現できる機能5選!

  1. カメラセンサーを使用しない信号機認識機能
  2. 走行経路に合わせて障害物検知エリアを変更する機能
  3. 車両に標準搭載されている2D-LiDARセンサーの感度を、走行経路に合わせて変更する機能
  4. 自律移動式から経路誘導式(磁気マーカー)へ、走行時の運転方式切り替え機能
  5. 車両の右左折に合わせた音声出力機能

まとめ

waypointのおさらい

waypointとは、Autowareのシステム内に一定間隔で作成する論理的なポイントです。このポイントが連続することで「走行経路」になります。車両はwaypointを通過するときに、そのwaypointに定義された情報を取得しながら走行します。

waypointには、次のような情報が定義されています。

  • 位置情報:スタート地点のwaypointを基点としたx,y,zの座標
  • 速度情報:車両が進む速度
  • 操舵角情報:車両が進む方向

waypointの情報を取得し、速度や方向を車両に伝え、次のwaypointまで進むというのが基本機能です。

このwaypointの作成方法はいくつかありますが、当社では事前走行の情報を利用した以下の方法で作成しています。

  1. 3D-LiDAR、Autowareを搭載した車両を、実際に人が運転して走行させます
  2. 走行した記録(車両の位置、速度、方向)を基にしたwaypointが、Autowareによって自動で作成されます

waypointのカスタマイズで実現できる機能5選!

基本機能だけでも自動運転はできますが、実際の自動運転開発の現場では、基本機能だけでは解決できないさまざまな課題があるため、waypointをカスタマイズして機能を開発する必要があります。

ここからは実際にお客さまのご要望から開発した機能のうち、評価の高かったものをピックアップしてご紹介します。

1.カメラセンサーを使用しない信号機認識機能

お客さまからのご要望

「安全面から建屋内にある信号機を確実に認識し、走行させたい」

課題

一般的な自動運転では、主にカメラセンサーを使って信号機の色を認識し、判断します。しかし、工場や倉庫内では、警告灯をはじめとした信号機以外のランプが多数設置されています。そのため、カメラセンサーで認識しようとすると、信号機以外のものを認識する「誤検知」を起こし、想定外の走行を行う可能性があります。

開発した機能

そこでカメラセンサーを使わずに、「お客さまの設備システムとAutowareを連携させる仕組み」を開発しました。信号機のあるwaypointでは、設備システムから受信した信号機情報を基に、進む/減速/止まるの判断を行い、車両の動作を決定します。これにより、確実に信号機を認識し、走行させることが可能となりました。

2.走行経路に合わせて障害物検知エリアを変更する機能

お客さまからのご要望

「走行ルートや環境にあった障害物検知を実施したい」

課題

Autowareの標準機能による障害物検知は、3D-LiDARを中心に円形の範囲を対象としています。そのため、前方を検知させたいからといって半径を大きくしてしまうと、円が大きくなり、検知させたくない横の範囲も障害物検知の対象となってしまいます。

また、障害物検知の範囲が円形であることで、車両側面と壁が近いルートや車両同士がすれ違うルートを走行させる場合に、本来障害物に該当しない壁やすれ違う車両を障害物と判断してしまうため、車両が停止してしまいます

開発した機能

そこで、障害物検知の対象エリアを、waypointからの幅で指定できる機能を開発しました。この機能では、車両が走行する経路の中心(waypointの場所)からの左右の幅をそれぞれ指定できます。さらに、車両の後方に荷台が付いている場合は、荷台を障害物と検知しないよう除外する設定もできます。この障害物検知の対象エリアの幅を、waypointごとに設定することで、走行ルートや周辺環境に合った柔軟な障害物検知ができるようになりました。

この機能の詳細は、こちらの記事でも紹介しています。

3.車両に標準搭載されている2D-LiDARの感度を、走行経路に合わせて変更する機能

お客さまからのご要望

「車両に元々搭載されている2D-LiDARの感度を経路に合わせて変更したい」

課題

工場や倉庫内で扱われる自動運転車両には、Autowareによる障害物検知とは別に、補助の障害検知機能としてあらかじめ2D-LiDARが付いているものがあります。このセンサーには感度設定がありますが、Autowareの標準機能では、走行中に感度を変更することができません。

開発した機能

車両に標準搭載されている2D-LiDARなどのセンサーは、PLCを経由して制御することが可能な場合があります。今回の2D-LiDARも、PLCにパラメータを送ることで感度の変更が可能です。そこで、Autowareから2D-LiDARの感度を変更できる機能を開発し、感度の変更が必要なwaypointにパラメータを定義しました。このカスタマイズにより、経路に合わせた2D-LiDARの感度変更が可能になりました。

4.自律移動式から経路誘導式(磁気マーカー)へ、走行時の運転方式切り替え機能

お客さまからのご要望

「工場や倉庫内の設備連携のために、数センチメートルのズレなく車両を停止したい」

課題

Autowareによる自律移動式の自動運転では、数センチメートルのズレなく車両を停止させることは困難です。そのような要望は、自動運転の運転方式を磁気マーカーに変更することで実現が可能ですが、Autowareの標準機能では走行中に運転方式を変更することができません。

開発した機能

2D-LiDARの感度変更と同様に、採用している車両はPLCで運転方式を変更することが可能でした。そこで、AutowareからPLCにパラメータを送り、運転方式を変更できる機能を開発しました。この機能を、運転方式を切り替える地点のwaypointに定義することで、走行中に運転方式を磁気マーカーへ切り替えることができるようになり、数センチメートルの誤差なく車両を停止することができました。

5.車両の右左折に合わせた音声出力機能

お客さまからのご要望

「工場や倉庫内の安全面から、右左折時など、走行経路に対応した音声を車両から出力してほしい」

課題

今回のお客さまの環境で元々の有人走行を行っていた際には、発進やバック時にのみクラクションを鳴らすという運用を行っていました。しかし、自動運転システムによって有人から無人に変わるため、安全面から車両の動作に合わせて自動で音声を出力させる必要がありました。しかし、Autowareの標準機能では、車両の動作を判断して自動で音声を出力することはできません。

開発した機能

そこで、AutowareからPLCに対し、特定のパラメータを送ることで、発信や停止、右左折の音声を出力させる機能を開発しました。この機能をwaypointに定義し、車両の動きに合わせた設定を行うことで、走行状況に応じた音声を自動で出力することができました。

まとめ

今回は、自動運転の実用化に向けたwaypointのカスタマイズで実現できる5つの機能を紹介しました。内容をおさらいします。

  1. 自動運転の実用化の課題はさまざま
  2. 基本機能だけでの課題の解決は難しい
  3. waypointのカスタマイズでクリアできることもある

waypointは経路情報だけでなく、カスタマイズによってさまざまな機能を持たせることができるということを知っていただけたかと思います。自動運転を実用化するに当たり、課題がある場合には、waypointのカスタマイズもぜひ手段の一つとして検討してみてください。

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